「120円を割ってきたので、そろそろドルを買おうと思うのですが……」と、いきなり言われても、120円を割ってきたということは、対米ドルに対してそれだけ円が強いと見られている証拠であり、すぐにドル高円安になるとも言い切れないと思う次第。
為替の決定要因のひとつに「金利差」というものが存在しているようですが、この金利差を見れば米国は利上げをしてくるのですから、「ドル買い円売り」のポジションが正解なんだろうと思われます。 ですが、「金利差」は為替の決定要因のひとつであって、「金利差」だけで決まるわけではないということ。
金利差だけで決まれば、これほど楽なものはないのでしょうが、さまざまな要因を加味して為替は決まってくるのです。
米ドルは基軸通貨ですから、世界各国の通貨の指標とも言え、単にドル円だけで考えるのも危なっかしい話。中国の人民元は、中国の景気後退懸念から危ういですし、新興国通貨だって危うい。そして、原油価格の下落が止まらない状態。こうなってくると「安全資産への回避」ということも意識されてくるのでしょう。
ファンダメンタルから追うと非常に難しいので、テクニカルから少しドル円相場を眺めてみましょう。
ドル円の週足になりますが、2015年の円高ピークは2015/01/16につけた1ドル=115.83円。そして、円安に向かって推移し円安のピークが2015/06/05につけた125.85円。そこから一転円高に向って2015/08/24の116.14円をつけ、2015/11/18の123.75円までのドル高円安の動き。円安ピークからはズルズルとドル安円高に推移し120円を割れてきた状態。これが2015年からのおおまかな値動き。
ざっとですが、この動きが継続するのならば、目標は113円どころになり、下抜ければ111円どころが次の目標となるようです。
あくまでも個人的な算出によるものですから、それなりの形で眺めておいてもらいたいのですが、現状は下げトレンドに入っており、ドルを買う雰囲気ではないと言うことになります。
(移動平均線・一目均衡表・RSIなどの数値から算出したときの目標値)
「金利差があっても、そんなに円高になるのか?」たしかに疑問となる部分ですが、米国の利上げは以前から言われていることであり、利上げ決定が「金利差」を材料としたピークになっているのかもしれません。相場の格言には「知ったら終い」というモノがあり、今回のドル円相場は、まさしく知ったら終いなのかもしれません。